機材編の続きで、今回は私が購入した三脚と赤道儀を紹介します。
>> 星景ポートレートの撮り方① ~ 機材編(カメラとレンズ)~
星景撮影に向いた三脚
星景撮影に向いた三脚はたくさんの方がブログやyoutubeでレビューしているので、ここでは詳しくは書きませんが、一般的には以下のスペックを考慮する場合が多いと思います。
- 耐荷重(最大搭載荷重)
- パイプ径
- 段数
- 素材
- 最低高
- 価格
ポートレート撮影は、星景撮影にライティング機材が追加されるなど機材が非常に多く、かつ、ドレスを着たモデルさんに長時間山歩きして貰うといった事は現実的ではないため、駐車場から比較的近い場所が撮影場所になることから、重さやサイズなどある程度妥協できる部分があります。
1.耐荷重
まずは耐荷重を決めるため、私が三脚に乗せる機材の合計を算出してみました。合計5.12kgですが、耐荷重の2~3倍の製品を買っておけば間違いないという世界なので、最低でも10kgクラスの製品を買いたいところです。
項目 | 内容 | 重量(kg) |
カメラ | Sony α7Ⅲ ボディ | 0.65 |
レンズ | Sony SEL1224G | 0.57 |
Lブラケット | SmallRig 2122 | 0.20 |
赤道儀 | Kenko スカイメモS | 1.00 |
微動雲台 | 0.80 | |
赤道儀オプション | バランサー等 | 1.50 |
自由雲台 | 0.40 | |
[合計] | 5.12 |
2.パイプ径と段数
材質にもよりますが、同じ素材ならパイプ径は太い方が安心です。もちろん、耐荷重と比例して製品が多いため、極端に細いものでなければ問題なさそうです。
段数は一般的には3段〜4段の製品が多いです。4段にするメリットは収納サイズがコンパクトになる事ですが、今回持ち運びは気にしないため、4段よりも安定している3段がベターです。
3.素材
移動距離が多ければカーボンが理想的ですが、数百グラム重かったとしても大きなデメリットにはならないため、価格の安いアルミ三脚で十分と思います。ただし、アルミはカーボンと比べて振動を伝えやすいというデメリットもあるため、予算に応じて決めたいです。
4.最低高
魚眼レンズや超広角レンズを低いアングルから撮影すると、パースの効いたダイナミックな写真が撮れるため、最低高の低い三脚がオススメです。ただし、カメラを逆さにして三脚の下に取り付ける製品は赤道儀を取り付けできないため、注意が必要です。
5.価格
一般的に星景撮影で使用する三脚って高価な製品を使用される方が多いと思います。もちろん、フルサイズレンズは1本10万円以上する物が多いので、三脚に10万円と言われても、まあびっくりするような価格ではありませんが、写真には直接影響しない部分であることと、撮影頻度がそれほど高くないため、コスパの良い物を購入したいものです。
6.まとめ
三脚選びって正直難しいですね。ブランド品の高価な製品を買えば間違いないという部分はありますが、ローアングルに対応していなかったり、星景撮影には余り必要ないギア式エレベーターが付いてたりとチェックポイントは色々とあると思います。
結局、悩みに悩んでこの製品を購入しました。
カメラ三脚 Tycka プロ級 アルミ合金三脚 一脚可変式 4段 167cm 12kg耐荷重 360度パノラマ自由雲台 カメラ ビデオカメラ用 TK103
決め手は、耐荷重12kg、低アングル対応、自由雲台が付属という事でした。
段数は3段、収納サイズは50cmほどです。かなりしっかりと作られていて、脚が緩むといった心配はありません。
付属している自由雲台は、アルカスイス互換で水平器内蔵です。実際にカメラとレンズを乗せてましたが、緩むことなくびくともしませんし、ボールヘッドもガタ付きやゴリゴリした感じも全くなく、スムーズに回転して中々良いものでした。
大きく開脚し、センターパイプを交換する事で、低いアングルからの撮影も可能です。正直、これだけ低ければ、短い方のセンターパイプに交換する必要はあまりないかもしれません。
脚を1本外して、一脚としても使うことができます。
ポータブル赤道儀について
なぜ、赤道儀が必要なのか?
星景ポートレートの撮り方① ~ 機材編(カメラとレンズ)~ でも少し触れましたが、f4と少々暗いレンズを使うため、明るいレンズと比較して露光時間をかける必要があります。
でも、単純に露光時間を長くすると星が点ではなく線になってしまうため、そこで赤道儀の出番となります。とは言え、今度は露光時間が長すぎると、風景やモデルさんが流れることになります。
撮影パラメータは後編で説明しますが、赤道儀を使い、かつ長すぎない露光時間にすることで、暗いレンズでも十分撮影が出来ることがわかりました。
市販されている赤道儀
国内で市販されている赤道儀の中で比較的安価かつ入手しやすい製品をピックアップしてみました。
メーカー | 製品名 | 参考価格 (円) | 製品重量 (kg) | 搭載可能重量 (kg) | 極望 付属 | Amazon 評価(★) | |
Kenko | スカイメモT | 32,159 | 0.65 | 3.0 | 〇 | 3.2 | |
Kenko | スカイメモS | 30,164 | 1.00 | 5.0 | 〇 | 4.1 | |
Vixen | ポラリエ | 34,455 | 0.80 | 1.5 | × | 4.4 | |
Vixen | ポラリエU | 55,000 | 0.58 | 2.5 | × | 4.4 | |
サイトロン | ナノトラッカー | 22,407 | 0.40 | 2.0 | × | 2.0 | |
サイトロン | ナノトラッカーNEW | 19,800 | 0.40 | 2.0 | × | – | |
サイトロン | ナノトラッカーAG | 29,800 | 0.40 | 2.0 | × | – |
実際に購入した赤道儀
カメラ、レンズ、自由雲台、レンズヒーターの合計重量は約1.7kgとなるため、ここで、ポラリエは脱落してしまいます。
ナノトラッカーのシリーズの搭載可能重量2.0kgは少々心もとないです。万が一、 宝くじが当たってレンズをSEL1224GM に買い替えたりするとアウトです(笑)
消去法の結果、スカイメモTまたはSが最終ノミネートとなりましたが、TはWi-Fiが安定しない事があるというレビューもあり、評価も若干低めです。そのため、最終的に スカイメモS を購入する事にしました。
赤道儀と別に購入したオプション
これで、無事に撮影出来ると思ったら大間違いでした。
まず、赤道儀を35度に傾けるための雲台が必要になります。最初は自由雲台で代用できるのではと甘い考えを持っていましたが、そもそも自由雲台を35度に調整するのが至難の業ですし、その上に赤道儀やカメラ、レンズなど総重量3kgほどの物を乗せるのは現実的ではありません。
と言う事で、痛い出費でしたが、専用の微動雲台を購入!!
これで無事に機材が揃ったと思った束の間、テスト撮影で赤道儀が上手く追尾出来ている時と、出来ていない時がある事が発覚しました。
実は中学校の時、天文少年だった私は望遠鏡の赤道儀には当たり前のように存在していたバランサーがポータブル赤道儀に無い事が気になっていましたが、これが原因でした・・・。
色々と調べて見ると、確かにバランサー無しでも撮影は可能なんですが、自由雲台で上手くカメラの重量バランスを調整しないとモーターに想定した以上の負荷がかかり、カメラを乗せた角度によっては追尾に失敗する事があるそうです。
という事で、更に出費がかさみます。
それでは、実際に赤道儀を乗せてみよう!!
やっと、これで機材が揃いました。
取り付けは下から上に 三脚 ⇒ 微動雲台 ⇒ (アリガタプレート+シャフト + ウエイト) ⇒ 自由雲台 ⇒ カメラの順になります。
※今回、カメラを2台取り付けしないため、アリガタプレート付属の微同台座は使用しません。
自由雲台にカメラを乗せるとこんな感じになります。バランサーがあるだけで、バランス調整が本当に簡単になります。
アルカスイス互換プレートなので、縦構図も簡単に変更できます。何より、バランサーのお陰で、縦構図に変更してもバランスの再調整も超簡単です。
ちなみに、スカイメモSは単三電池が4本必要です。電池は極軸望遠鏡のキャップを外して電池BOXをスライドする必要があります。
深夜の撮影のため、撮影から帰宅すると直ぐに寝る場合が多いと思いますが、長期間、うっかり電池を入れっぱなしにすると、液漏れして悲しい事になるかも知れません。
もう、ここまで機材にお金をかけたのですから、電池くらいは多少高くても 液漏れ防止設計 の国産品の物を使いたいですね(笑)
次回は機材編の最後の ~ 機材編(ライティング)~ を紹介したいと思います。